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Column — 2026-04-09

少人数学級にどれだけの効果があるか?

35人学級の実現が進む中、「人数を減らす」だけで学力は上がるのか。費用対効果の視点から考える。

学級規模 制度 費用対効果

35人学級への移行

日本では2021年度から段階的に小学校の学級上限が40人から35人に引き下げられています。これは教員の負担軽減と子どもへのきめ細かい指導を目的とした政策です。

少人数学級の推進は直感的に「良いこと」に感じますが、エビデンスはどう評価しているでしょうか。

研究が示していること

最も有名な研究は、米国テネシー州の STAR プロジェクト(Finn & Achilles, 1990)です。6,500人を対象としたRCTで、13〜17人の少人数学級では学力が有意に向上しました。

しかし、EEF Toolkit の評価はやや冷静です。

つまり、「効果はあるが、同じ予算でもっと効果の大きい介入がある」という評価です。

費用対効果で比較すると

同じ予算をどこに使うかで、得られる効果は大きく変わります。

介入効果コスト費用対効果
学級規模の縮小+2ヶ月¥¥¥¥¥低い
フィードバックの改善+6ヶ月¥非常に高い
少人数指導(一時的)+4ヶ月¥¥¥中程度
メタ認知の指導+7ヶ月¥非常に高い

学級全体の人数を恒常的に減らすより、必要な場面で一時的に少人数を作る方が費用対効果が高い、というのが研究の示唆です。

考えたいこと

35人学級の推進を否定するわけではありません。教員の負担軽減は、教員の健康と持続可能な教育のために重要です。

ただし、「人数を減らせば自動的に学力が上がる」ことを期待するなら、その前提には留意が必要です。

人数が減ったことで生まれた余裕を:

…というように、「何が変わるか」を意識的に設計することが、少人数学級の効果を最大化する鍵です。

参考

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