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Guide — Glossary

用語集

本サイトで使われている
専門用語を一行で解説します。
28語収録

エビデンス
Evidence
研究で確かめられた知見や根拠。個人の経験や印象ではなく、データに基づいて「効果がある/ない」を判断するための材料。本サイトでは主にメタ分析やRCTの結果を指す。エビデンスは「正解」ではなく「判断の材料」であり、教師の専門的判断と組み合わせて使うもの。
メタ分析
Meta-analysis
同じテーマについて行われた数十〜数百本の研究を統計的に統合し、全体的な傾向を分析する手法。1本の研究では「たまたま」の可能性があるが、多数を統合すると信頼性が高くなる。本サイトの「+◯ヶ月」の多くはメタ分析から算出されている。
効果量
Effect size
「効果があった」だけでなく「どのくらい効いたか」を数値化した指標。代表的なのはコーエンのd。d=0.2で小さい効果、d=0.5で中程度、d=0.8で大きい効果。本サイトではd≈0.1を約1ヶ月に換算して表示している。
RCT
Randomized Controlled Trial
ランダム化比較試験。対象者をくじ引き等でランダムに2群に分け、片方にだけ指導法を実施し、もう片方と比較する。ランダムに分けることで両群の条件(学力・家庭環境等)がほぼ同じになるため、差が出れば「指導法のおかげ」と言える。教育研究では倫理的・実務的な理由から実施が難しく、数が限られている。日本の教育分野では教科担任制のRIETI研究(2025)が初のRCT。
システマティックレビュー
Systematic review
あるテーマについて、検索条件を明確にして網羅的に文献を収集し、一定の基準で質を評価する手法。「手当たり次第に探す」のではなく「漏れなく・偏りなく集める」点が通常の文献レビューと異なる。メタ分析の前段階として行われることが多い。
コーエンのd
Cohen's d
2つのグループ(例:介入群と対照群)の平均点の差を、ばらつき(標準偏差)で割った値。教科や年齢が異なる研究同士でも効果の大きさを比較できる共通の物差し。d=0.2(小)、d=0.5(中)、d=0.8(大)が目安。
形成的評価
Formative assessment
学習の途中で行う評価。通知表のための成績づけ(総括的評価)とは異なり、「今どこでつまずいているか」「次に何をすべきか」を教師と子どもが把握し、指導を調整するために行う。小テスト・ノートチェック・対話などが具体例。
メタ認知
Metacognition
「自分の思考について考える」こと。「今の自分は何が分かっていて、何が分かっていないか」「この方法でうまくいっているか」を意識する力。学習効果が最も高い領域の一つ(+7ヶ月)。
自己調整学習
Self-regulated learning
学習者が自分で目標を設定し、計画を立て、実行し、振り返り、次の学びにつなげるプロセス。メタ認知が土台。「やらされる勉強」から「自分で進める学び」への転換。
足場かけ
Scaffolding
子どもが一人ではできないことに取り組むとき、教師がヒント・手順の分解・モデルの提示などで段階的に支援し、できるようになるにつれて支援を外していくこと。「教えすぎない、でも放置しない」の技術。効果量+8ヶ月。
フィードバック
Feedback
学びや行動に対して具体的な情報を返すこと。「何がよかったか」「次はどうするか」を伝える。
協同学習
Cooperative learning
子ども同士が小グループで役割を持って学び合う指導法。全員が貢献する設計が鍵。
マスタリーラーニング
Mastery learning
全員が一定の到達基準に達してから次に進む学習方式。理解の差を時間で吸収する。
ピア・チュータリング
Peer tutoring
子ども同士がペアになり、教え合う指導法。教える側にも学ぶ側にも効果がある。
SEL
Social and Emotional Learning
社会性と情動の学習。自己理解・自己管理・他者理解・対人スキル・意思決定の5領域からなる。
成長マインドセット
Growth mindset
「能力は努力や戦略で伸ばせる」という信念。対義語は「固定マインドセット(能力は生まれつき決まっている)」。
ユニバーサルデザイン(授業UD)
Universal Design for Learning
特別な配慮なしに、すべての子が分かる授業を設計する手法。視覚化・焦点化・共有化の3原則。
研究授業
Lesson Study
教師が協働で授業を計画し、1人が実施、他が観察・検討する日本発の研修手法。世界にLesson Studyとして輸出された。
探究学習
Inquiry-based learning
子どもが自ら問いを立て、調べ、考え、まとめ、表現する学習。総合的な学習の時間の核。
反転授業
Flipped classroom
家庭で動画等により知識をインプットし、教室では対話・演習に集中する授業形態。
特別活動(特活)
Tokkatsu
学級活動・児童会活動・クラブ活動・学校行事を通じて自治的な力を育てる日本固有の教育領域。
非認知能力
Non-cognitive skills
テストの点数では測れない力の総称。粘り強さ(グリット)、自己効力感、協調性、自制心、好奇心などが含まれる。Heckmanの研究で「将来の年収・健康・犯罪率に学力と同等以上に影響する」ことが示され、注目が高まった。
GIGAスクール構想
GIGA School Program
「Global and Innovation Gateway for All」の略。児童生徒1人1台端末と高速ネットワークを整備する日本の国策。2020年度にコロナ禍で加速的に展開。端末の配備は完了したが「どう使うか」が次の課題。
出版バイアス
Publication bias
「効果があった」研究は学術誌に発表されやすく、「効果がなかった」研究はお蔵入りしやすい傾向。その結果、メタ分析に含まれる研究が「効果あり」に偏り、全体の効果が過大評価される原因になる。本サイトの数値にもこのバイアスが含まれている可能性がある。
SES
Socioeconomic Status
社会経済的地位。保護者の学歴・収入・職業などで構成される指標。松岡亮二氏の研究で、日本でもSESと学力の間に強い相関があることが実証されている。
EEF
Education Endowment Foundation
英国の教育研究財団。2011年設立。Teaching and Learning Toolkitで30以上の指導法を効果量・エビデンスの強さ・コストで評価し公開。本サイトの主要な参照元。CC BY-SA 4.0で公開されている。
教育経済学
Economics of Education
経済学の手法(RCT・統計分析)を使って教育の効果や費用対効果を分析する学問分野。日本では中室牧子氏(慶應義塾大学)が代表的。「勘と経験」ではなく「データ」で教育を語る立場。
相関と因果
Correlation vs. Causation
「AとBが一緒に起きる」(相関)と「AがBを引き起こす」(因果)は別物。例:「読書量が多い子は学力が高い」は相関。「読書が学力を上げる」は因果。因果を示すにはRCTが必要。教育研究では相関を因果と混同しやすいので注意。