Guide — How to read

4つの指標の
読み方

本サイトの各指導法には4つの指標が付いています。ここでは、それぞれの意味と読み取り方を解説します。

01

学習効果(+◯ヶ月)

+6ヶ月

その指導法を1年間取り入れた学級の子どもが、4月スタートで3月に測定した時、 取り入れなかった場合と比べて、約◯ヶ月先の学力水準に到達したことを示します。

具体的なイメージ

通常、子どもは1学年分(1年間)の学習で標準的な成長をします。 「+6ヶ月」の指導法を取り入れた場合、同じ1年間で約1年半分の成長が得られた—— つまり、3月の時点で通常より約半年先の学力水準に到達したということです。

この数値はどうやって計算されるのか

元になるのは「効果量(effect size)」と呼ばれる統計指標です。 多くの研究結果を統合したメタ分析から得られる効果量を、 学校生活1年分の学習進捗を基準に「月数」に変換しています。

注意すべきこと

  • ・この数値は平均値です。すべての子に同じ効果が出るわけではありません
  • ・複数の指導法の月数を足し算することはできません(「+6と+5で+11」にはなりません)
  • ・同じ指導法でも、実施の質によって効果は大きく変動します
  • ・月数が小さい指導法が「意味がない」のではなく、効果が小さめだということです

【重要】この数値は「学力」への効果のみです

「+◯ヶ月」は主にテストで測定可能な学力(読解・算数等)への効果を示しています。 しかし、教育には学力以外にも重要な側面が数多くあります:

  • 非認知能力 — 自己肯定感・粘り強さ・協調性・動機づけ
  • 社会性・情動 — 他者理解・感情調整・対人スキル
  • 行動面 — 学校適応・出席率・問題行動の減少
  • ウェルビーイング — 学校が楽しい、安心できる場所である感覚

たとえばSEL(+4ヶ月)芸術活動(+3ヶ月)屋外学習(+3ヶ月)メンタリング(+2ヶ月)などは、 学力効果は小さくても、非認知的な側面で大きな価値を持つことが多くの研究で示されています。 月数だけで判断せず、「この指導で何を育てたいのか」と合わせて検討してください。

EEF も公式の使い方ガイド(Using the Toolkits)で「Toolkit は教育的達成度(attainment)を主要な指標としており、意欲・出席・行動など他の成果はこの月数に体系的に反映されていない」と明記しています。

目安としての読み方

-1 以下
やらない方が
よかった領域
+1〜3
小さいが
確認できる効果
+4〜6
中程度〜
大きな効果
+7 以上
非常に
大きな効果

マイナスの値について

「-◯ヶ月」は、その取り組みを行った学級が、行わなかった場合より◯ヶ月分遅れたことを意味します。 本サイトでは直感に反してでも効果のない・逆効果の研究知見も掲載しており、例えば 留年(-4ヶ月)体罰(-3ヶ月)停学・出席停止(-2ヶ月) など、 「やってはいけない」ことをエビデンスで確認するためにも使えます。

02

エビデンスの強さ(★)

★★★★☆

その効果がどれだけ信頼できる研究で確かめられているかを示します。 「効果が大きい」ことと「証拠が確か」であることは別の話です。

★の基準

★☆☆☆☆ 研究は存在するが数が少なく、結論は初期段階のもの
★★☆☆☆ いくつかの研究はあるが、結果にばらつきがある
★★★☆☆ 一定数の質の良い研究があり、概ね一致した結果が出ている
★★★★☆ 多数の質の高い研究で繰り返し確認されている
★★★★★ 大規模で堅牢な研究が蓄積しており、結果の信頼性が非常に高い

考慮される要素

  • ・研究の数(何本の研究に基づいているか)
  • ・研究デザイン(ランダム化比較試験か、観察研究か)
  • ・対象者の規模(何人を対象にした研究か)
  • ・結果の一貫性(異なる研究で同じ結論が出ているか)
03

導入コスト(¥)

¥¥···

その指導法を導入するのに、児童1人あたり年間どのくらいの金銭的コストがかかるかの概算です。 EEF Toolkit の基準(英ポンド £)を日本円に換算し、日本の小学校の文脈に合わせた目安としています。

※ 下記の日本円換算は 2026年4月時点(1£ ≒ 215円) の為替レートに基づく概算です。為替変動により数値は変わります。

¥の基準(児童1人あたり年間)

¥····
0円〜約17,000円(EEF: £0–£80)
教師の工夫で始められる。特別な予算不要。例: フィードバック、メタ認知の指導、検索練習
¥¥···
約17,000〜43,000円(EEF: £80–£200)
少額の教材費や短時間の研修。例: 協同学習、SEL、マスタリーラーニング
¥¥¥··
約43,000〜150,000円(EEF: £200–£700)
まとまった教材費、定期的な研修、一部人員の確保。例: 少人数指導、保護者との連携プログラム
¥¥¥¥·
約150,000〜258,000円(EEF: £700–£1,200)
専門スタッフの配置、大規模な研修、ICT環境整備。例: 個別指導、補助スタッフの活用
¥¥¥¥¥
約258,000円以上(EEF: £1,200以上)
学級編成の変更、教員増員など、組織的・制度的投資。例: 学級規模の縮小、教科担任制

費用対効果の考え方

「+◯ヶ月」の効果が大きくても、コストが見合わない場合があります。 たとえば学級規模の縮小は +1ヶ月の効果に対して ¥¥¥¥¥ のコストがかかる一方、 フィードバックの改善は +6ヶ月の効果を ¥ つまりほぼ無料で得られます。 「効果 ÷ コスト」で考えると、後者の方が圧倒的に費用対効果が高いと言えます。

04

出典バッジ

EEF 日本 Hattie

各指導法に付いているバッジは、その効果量がどの研究ソースに基づいているかを示します。 複数のソースに該当する場合は、複数のバッジが表示されます。

各バッジの意味

EEF
英国 Education Endowment Foundation
Teaching and Learning Toolkit に基づく。数百〜数千本のメタ分析を統合。本サイトの主要参照元。
日本
日本国内の研究
中室牧子・松岡亮二・赤林英夫・耳塚寛明 等による実証研究。日本の文脈に最も近い知見。
Hattie
Hattie の Visible Learning
800以上のメタ分析を統合。影響力は大きいが、効果量が楽観的に出やすい傾向があり、参考値として扱う。

優先順位

複数のソースで値が異なる場合、本サイトは以下の順で代表値を選んでいます: 日本研究(★3以上) > EEF > Hattie(保守的に調整) > 推測値(0として扱う)。 詳しくは エビデンスと文化的文脈 を参照。

4つの指標は、いずれも「絶対的な答え」ではありません。
目の前の子どもと教室の状況を踏まえて、
判断の参考としてお使いください。

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