一言でいうと
大人や年長者が、特定の子どもと継続的な関係を築き、学習面・生活面の相談や支援をする取り組みです。学力への直接効果は+2ヶ月と小さめですが、子どもの自己肯定感・学校適応・行動面に好影響が報告されています。
なぜ効果が限定的なのか
メンタリングは「教える」ことよりも「寄り添う」ことが中心です。子どもにとって安心できる大人の存在は重要ですが、それだけでは教科の学力は直接伸びません。学力の向上そのものを目指す場合、EEF は個別指導やピア・チュータリングを別の項目として案内しています。教科の直接指導を主とする取り組み(「アカデミック・メンタリング」と呼ばれることがあります)は、この項目の対象に含まれていません。
日本の小学校で取り入れるヒント
- 特定の子ども(不登校傾向・家庭的に困難・自己肯定感の低い子)に対し、担任以外の教師が定期的に声をかける
- スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携
- 地域のボランティア(読み聞かせ・放課後学習支援)を「顔の見える大人」として位置づける
- 異学年交流で高学年が低学年のメンターになる取り組み
- メンターは「指導者」ではなく「伴走者」の立場を意識する
研究からわかっていること
- 学力への効果は+2ヶ月。EEF は、学力の向上だけに焦点を絞ったプログラムが特に効果的だという証拠は無く、複数の目的を持つプログラムでも同等以上でありうるとしています
- 非認知面(自己肯定感・行動・学校適応)への効果は、学力への効果より大きい傾向
- 効果は関係性の質と期間に依存する。短期間では効果が出にくい
- 構造化された(目標・頻度・内容が明確な)メンタリングの方が効果的
注意したいこと
- 学力向上を主目的とするなら、メンタリング単独より個別指導や少人数指導の方が効果的です
- メンターの質が問われます。訓練なしにボランティアを配置しても効果は出にくい
- 子どもとメンターの相性が合わない場合の対応(組み替え)を事前に想定する
- 依存関係にならないよう、子どもの自立を促す関わりが求められます
主な参考研究
- DuBois, D. L., Portillo, N., Rhodes, J. E., Silverthorn, N., & Valentine, J. C. (2011). How effective are mentoring programs for youth? A systematic assessment of the evidence. Psychological Science in the Public Interest, 12(2), 57–91. — 1999〜2010年に公表された青少年メンタリングプログラムの独立評価73件のメタ分析。平均効果量は0.21で、小さいが有意。メンターに指導・アドボカシー(子どもの代弁)の役割を担わせるよう設計されたプログラムや、興味の共通性でマッチングしたプログラムで効果が大きかった。
- Mentoring. Education Endowment Foundation, Teaching and Learning Toolkit. — 2025年5月のレビュー(64研究)で+2ヶ月、確実性評価は 5 段階中 3(moderate)。小学校段階と中学校段階で効果は同程度。うまくいかなかった組み合わせには害がありうるとし、負の効果を報告する研究もあると明記している。
関連する学習指導要領
- 小学校学習指導要領解説 総則編 — 「生徒指導の充実」の節で、児童理解を深め、一人一人に応じた支援の重要性が示されています。