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Strategy — 最終確認 2026-09-06

EEF

指導法

メンタリング

大人や年長者が子どもに寄り添い、学習面・生活面の支援を行う取り組み。学力への効果は小さいが、非認知面での好影響が報告される。

学習効果
+2ヶ月
3月時点で、通常より約2ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★★☆☆
コスト
¥¥¥··
対象
全教科
全学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

EEF Toolkit + 2 ヶ月 ★★★ ☆☆

EEF Toolkit の 2025 年 5 月レビュー(64 研究)で +2ヶ月。確実性評価は 5 段階中 3(moderate)。2021 年 7 月時点は 44 研究で、値と評価は変わっていない。小学校段階と中学校段階で効果は同程度。EEF は、うまくいかなかったメンターとの組み合わせには子どもへの害がありうるとし、全体として負の効果を報告する研究もあると明記している。構造と期待が明確で、メンターへの訓練と支援があり、志願者からメンターを募るプログラムほど良い結果と結びついている。学力への効果は小さいが、非認知スキル(自信・動機づけ・登校継続)への効果が報告される。DuBois et al.(2011)の独立評価 73 件のメタ分析では、行動・社会性・情動・学業の各領域で効果が示されたが、通算した平均効果量は 0.21 と小さい。

Technical Appendix 研究の詳細
研究数
73 件
総サンプルサイズ
1999〜2010 年に公表された青少年メンタリングプログラムの独立評価 73 件(行動・社会性・情動・学業の 4 領域を横断)
効果量
全領域・全研究を通算した平均効果量は 0.21(小さいが有意)。リスクを抱えた青少年を対象とするプログラムで相対的に大きい
主要エビデンスレビュー
エビデンスの限界

対象は学校型に限らない青少年メンタリング全般の評価で、学力(成績・標準テスト)への効果は小さい。EEF Toolkit も学力 +2 か月と控えめに評価し、効果の中心は非認知面(自信・動機づけ・登校継続)にある。効果はプログラムの質・継続期間で大きく変動し、メンタリング関係そのものにリスクが無いわけではないことも指摘されている。

日本の文脈で考慮したいこと

日本では担任教師が学習・生活・進路の全面的な支援を担う構造で、欧米型の外部メンター制度は馴染みが薄い。近年は不登校支援の『校内別室指導員』『スクールサポートスタッフ』など、メンタリング的な役割が制度化されつつある。学力への直接効果は期待せず、関係性・自己肯定感・登校継続といった非認知目標に焦点を当てる使い方が適切。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(7)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果が限定的なのか
  3. 日本の小学校で取り入れるヒント
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究
  7. 関連する学習指導要領

一言でいうと

大人や年長者が、特定の子どもと継続的な関係を築き、学習面・生活面の相談や支援をする取り組みです。学力への直接効果は+2ヶ月と小さめですが、子どもの自己肯定感・学校適応・行動面に好影響が報告されています。

なぜ効果が限定的なのか

メンタリングは「教える」ことよりも「寄り添う」ことが中心です。子どもにとって安心できる大人の存在は重要ですが、それだけでは教科の学力は直接伸びません。学力の向上そのものを目指す場合、EEF個別指導ピア・チュータリングを別の項目として案内しています。教科の直接指導を主とする取り組み(「アカデミック・メンタリング」と呼ばれることがあります)は、この項目の対象に含まれていません。

日本の小学校で取り入れるヒント

  • 特定の子ども(不登校傾向・家庭的に困難・自己肯定感の低い子)に対し、担任以外の教師が定期的に声をかける
  • スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携
  • 地域のボランティア(読み聞かせ・放課後学習支援)を「顔の見える大人」として位置づける
  • 異学年交流で高学年が低学年のメンターになる取り組み
  • メンターは「指導者」ではなく「伴走者」の立場を意識する

研究からわかっていること

  • 学力への効果は+2ヶ月。EEF は、学力の向上だけに焦点を絞ったプログラムが特に効果的だという証拠は無く、複数の目的を持つプログラムでも同等以上でありうるとしています
  • 非認知面(自己肯定感・行動・学校適応)への効果は、学力への効果より大きい傾向
  • 効果は関係性の質と期間に依存する。短期間では効果が出にくい
  • 構造化された(目標・頻度・内容が明確な)メンタリングの方が効果的

注意したいこと

  • 学力向上を主目的とするなら、メンタリング単独より個別指導や少人数指導の方が効果的です
  • メンターの質が問われます。訓練なしにボランティアを配置しても効果は出にくい
  • 子どもとメンターの相性が合わない場合の対応(組み替え)を事前に想定する
  • 依存関係にならないよう、子どもの自立を促す関わりが求められます

主な参考研究

  • DuBois, D. L., Portillo, N., Rhodes, J. E., Silverthorn, N., & Valentine, J. C. (2011). How effective are mentoring programs for youth? A systematic assessment of the evidence. Psychological Science in the Public Interest, 12(2), 57–91. — 1999〜2010年に公表された青少年メンタリングプログラムの独立評価73件のメタ分析。平均効果量は0.21で、小さいが有意。メンターに指導・アドボカシー(子どもの代弁)の役割を担わせるよう設計されたプログラムや、興味の共通性でマッチングしたプログラムで効果が大きかった。
  • Mentoring. Education Endowment Foundation, Teaching and Learning Toolkit. — 2025年5月のレビュー(64研究)で+2ヶ月、確実性評価は 5 段階中 3(moderate)。小学校段階と中学校段階で効果は同程度。うまくいかなかった組み合わせには害がありうるとし、負の効果を報告する研究もあると明記している。

関連する学習指導要領

参考にしている情報源
EEF Teaching and Learning Toolkit — Mentoring