一言でいうと
音楽・美術・演劇・ダンスなどの芸術活動に参加する取り組みです。 学力への効果は+3ヶ月で、EEF はこれを「プラスの方向だが中程度」と表現しています。表現力・意欲・ウェルビーイングへの好影響も報告されています。
なぜ効果があるのか
EEF は、芸術活動が学力に及ぶ経路をひとつに特定してはいません。以下は、その理由として考えられる筋道です。
芸術活動は、言葉だけでは表せないものを表現する手段を子どもに与えます。 また、評価が一律ではない領域なので、教科学習で自信を持てない子が活躍できる場になることがあります。 学校生活全体の質や、子どものウェルビーイングを支える役割があると考えられています。
日本の小学校で取り入れるヒント
- 音楽・図工の時間を、教科横断的に他の学習とつなげる
- 物語の音読を演劇的にしてみる
- 社会科で学んだことを、絵やポスターで表現させる
- 上手・下手で評価せず、表現の意図を尊重する文化を作る
- 鑑賞の時間を大切にする(他の子の作品から学ぶ)
研究からわかっていること
- 平均的に、学習は約3ヶ月分前進します。EEF はこれを「プラスの方向だが中程度」と表現し、国語・算数・理科で改善が報告されているとしています。
- 効果は小学校段階と中学校段階で同程度で、読解より作文と算数で大きいと報告されています。
- 演劇と作文、音楽と空間認識といった、個別の結びつきも報告されています。
- 学習への前向きな態度やウェルビーイングといった、学力の外側の効果も一貫して報告されています。
- 確実性評価は 5 段階中 3(moderate)です。独立評価を受けていない研究の割合が高いことを理由に南京錠を 1 つ失っています。
注意したいこと
- 芸術を「学力向上のための手段」としてだけ扱うと、その本質を損なうおそれがあります。EEF も、芸術への参加はそれ自体に価値があるとしています。
- 評価の難しい領域なので、子どもへの言葉がけに配慮が必要です。
- 教科時数の制約の中で、どう位置づけるかは現場の判断が問われます。
主な参考研究
- Winner, E., Goldstein, T. R., & Vincent-Lancrin, S. (2013). Art for art’s sake? The impact of arts education. OECD Publishing. — OECDによる芸術教育の効果のレビュー。学力への直接効果は限定的だが、創造性や動機づけへの効果を報告。
- Catterall, J. S., Dumais, S. A., & Hampden-Thompson, G. (2012). The arts and achievement in at-risk youth. National Endowment for the Arts. — 不利な環境にある子どもにとって、芸術活動が学校適応と学力に正の効果を持つことを示した大規模追跡研究。
- Arts participation. Education Endowment Foundation, Teaching and Learning Toolkit. — 2021年7月のレビュー(80研究)で+3ヶ月、確実性評価は 5 段階中 3(moderate)。国語・算数・理科で改善が報告され、読解より作文と算数で効果が大きいとしている。
関連する学習指導要領
- 小学校学習指導要領解説 音楽編 — 音楽的な見方・考え方を働かせた表現と鑑賞の活動が目標として示されています。
- 小学校学習指導要領解説 図画工作編 — 造形的な見方・考え方を働かせた表現と鑑賞の活動が位置づけられています。