一言でいうと
算数で「かけ算の問題を10問→わり算の問題を10問」とやるのではなく、「かけ算・わり算・足し算を混ぜて10問」とやる方が、長い目で見ると力がつきます。 練習中は難しく感じますが、「どの方法を使うか」を自分で判断する力が育ちます。
なぜ効果があるのか
同じ種類の問題を連続で解く(ブロック練習)と、「この単元だからこの解き方」と自動的に選べてしまいます。しかし実際のテストや日常では、どの方法を使うかを自分で判断する必要があります。 交互練習では、問題を見るたびに「これはどの種類の問題か」「どの方法を使うべきか」を考える必要が生じます。 この「識別」と「選択」の練習が、応用力と長期的な定着を高めるのです。
日本の小学校で取り入れるヒント
- 算数の練習問題で、今日学んだ問題と先週の問題を混ぜた「ミックスプリント」を作る
- 漢字練習で、同じ部首の漢字ばかりではなく、異なる部首を混ぜて出題する
- 理科の実験レポートで、「観察」「仮説」「結論」の練習を混ぜて行う
- テスト前の復習では、単元ごとではなく横断的な問題セットを用意する
- 最初は2種類を混ぜることから始め、慣れたら3種類以上に増やす
研究からわかっていること
- 交互練習は練習中の正答率を下げますが、後日のテストでの正答率を上げます。
- 特に「似ているが異なる概念」を区別する力を育てる効果が大きいです。
- 算数・数学での効果が最も多く研究されていますが、理科や美術でも効果が確認されています。
- 分散学習や検索練習と組み合わせることで、さらに効果が高まります。
注意したいこと
- 新しい概念を学んでいる最中にいきなり交互練習を導入すると、混乱を招く可能性があります。まず基本を理解してから混ぜましょう。
- 練習中の正答率が下がるため、子どもが「できない」と感じやすいです。「今は難しくても後で力がつくよ」と説明することが大切です。
- 教科書やドリルは通常ブロック練習で構成されているため、教師が意図的に問題を組み替える必要があります。
主な参考研究
- Rohrer, D. (2012). Interleaving helps students distinguish among similar concepts. Educational Psychology Review, 24(3), 355–367. — 交互練習の理論と実証をまとめたレビュー。「識別力」の向上が効果の鍵であることを指摘。
- Pan, S. C., Tajran, J., Lovelett, J., Osuna, J., & Rickard, T. C. (2019). Does interleaved practice enhance foreign language learning?. Educational Psychology Review, 31, 988–994. — 交互練習の効果を外国語学習にも拡張し、領域を超えた有効性を示した。
関連する学習指導要領
- 小学校学習指導要領解説 総則編 — 知識及び技能が「活用できる」レベルに至ることが繰り返し求められています。交互練習は、学んだことを適切な場面で使い分ける力を育てる手法として、この目標に直結します。
関連項目: ブロック学習 vs 交互練習 — ブロック学習がなぜ定着しにくいかを詳しく解説