一言でいうと
「ブロック学習」とは、同じ種類の問題を連続して練習する方法です(例:かけ算の問題を20問 → 次にわり算を20問)。ほとんどのドリルや教科書がこの形式です。しかし研究では、問題の種類を混ぜる「交互練習」の方が長期的な記憶定着に優れていることが繰り返し示されています。
なぜブロック学習は定着しにくいのか
- ブロック学習では「次もかけ算だ」と分かっているため、どの方法を使うか判断する必要がない
- 実際のテストや日常では「これはかけ算?わり算?」の判断が必要。ブロック学習ではこの判断力が育たない
- ブロック学習は「できている感」が強く、学習者も教師も効果があると錯覚しやすい(流暢性の罠)
- 交互練習は途中で「難しい」「混乱する」と感じるが、それが深い処理を促し、長期記憶を強化する
日本の小学校で取り入れるヒント
- 算数の宿題で、1ページにかけ算・わり算・足し算を混ぜて出す
- 小テストで「先週の内容と今週の内容を混ぜて出題する」
- 漢字テストで「今週の漢字」だけでなく「前に習った漢字」も数問入れる
- 「今日はここだけ」ではなく「前の単元の問題も1〜2問」を日常化する
- 子どもには「混ぜた方が難しいけど、こっちの方が本当に覚えられるんだよ」と伝える
研究からわかっていること
- Rohrer & Taylor (2007) のRCTでは、交互練習群がブロック学習群より1週間後のテストで3倍の正答率
- 直後のテストではブロック学習の方が成績が良い(=「できている」と感じる)が、時間が経つと交互練習が逆転する
- 効果は算数・理科で最もよく検証されているが、語彙学習や美術(絵画の様式判別)でも確認されている
- Dunlosky et al. (2013) は交互練習を「効果的な学習法」として推奨(10の学習法のうち上位)
注意したいこと
- 新しい概念を最初に学ぶ段階ではブロック学習(集中練習)が必要。交互練習はある程度理解した後の定着段階で効果的
- 交互練習は「難しい」と感じるため、子どものモチベーション管理が必要。理由を説明して納得させる
- ドリルや教科書のほとんどがブロック形式なので、教師が意識的に混ぜる工夫が要る
- この知見は日本の教育現場ではまだ知られていないため、校内研修で共有する価値がある
主な参考研究
- Rohrer, D., & Taylor, K. (2007). The shuffling of mathematics problems improves learning. Instructional Science, 35(6), 481–498. — 交互練習の効果を算数で実証したRCT。1週間後のテストで3倍の差。
- Rohrer, D. (2012). Interleaving helps students distinguish among similar concepts. Educational Psychology Review, 24, 355–367. — 交互練習が「概念の区別力」を育てることを理論的に説明。
- Dunlosky, J., et al. (2013). Improving students’ learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. — 10の学習法を評価。交互練習を「中〜高い有用性」と評価。
関連する学習指導要領
- 小学校学習指導要領解説 算数編 — 既習事項の活用・統合が目標として示されており、交互練習の考え方と接続します。
関連項目: 交互練習(インターリービング) — 交互練習の効果と実践方法を詳しく解説