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Strategy — 最終確認 2026-09-03

EEF

指導法

サマースクール(長期休暇中の学習支援)

夏休み中に学校や地域で行う学習支援プログラム。平均で+3ヶ月だが、効果が出るのは学業の要素を持つものに限られ、参加の継続が課題になる。

学習効果
+3ヶ月
3月時点で、通常より約3ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★☆☆☆
コスト
¥¥¥··
対象
全教科
全学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

EEF Toolkit + 3 ヶ月 ★★ ☆☆☆

EEF Toolkit の 2025 年 5 月レビュー(69 研究)で +3ヶ月。確実性評価は 5 段階中 2(low)で、無作為化比較試験でない研究の割合が高いことを理由に南京錠を 1 つ余分に失っている。学業の要素を持つプログラムで効果が見られ、明確な学習の要素を持たないサマースクールは通常は学力の向上と結びつかないが、EEF は別の面での価値はありうるとしている。集中的で資源の裏づけがあり、訓練を受けた経験ある教師による小集団・個別指導を伴う場合に効果が大きい。EEF は、小集団・個別といった集中的な指導方法について +5ヶ月、子どもが既に知っている教師が担当する場合について全体で +4ヶ月という値を示している。効果は小学校段階と中学校段階で同程度、読解と算数でも同程度(いずれも +3ヶ月)。夏休みの学力低下(summer slide)対策として位置づけられる。

Technical Appendix 研究の詳細
研究数
93 件
総サンプルサイズ
サマースクールの評価研究 93 件の統合(メタ分析+ナラティブレビュー、米国中心)
効果量
補習型・先取り型とも参加者の知識・技能に正の効果。補習型は小規模で個別化された指導ほど効果が大きい。全学年で効果があり、最低学年と中等段階で最大の可能性。EEF Toolkit は学校段階の平均を +3 か月と換算(EEF 自身は読解と算数で効果は同程度としている)
主要エビデンスレビュー
Cooper, Charlton, Valentine & Muhlenbruck (2000). Making the Most of Summer School: A Meta-Analytic and Narrative Review
エビデンスの限界

メタ分析自身の知見では、全生徒に効果がある一方で中流家庭の生徒の方が不利な環境の生徒より効果が大きく、格差縮小の手段としては逆説を抱える。著者らは政策提言として厳密な評価の組み込みを求めており、既存評価の研究設計の質には幅がある。EEF は、学業の要素を持つプログラムで効果が見られ、明確な学習の要素を持たないサマースクールは通常は学力の向上と結びつかない(ただしスポーツや芸術など別の面での価値はありうる)と整理している。

日本の文脈で考慮したいこと

日本の小学校には欧米型の『夏休み中の学校主催学習プログラム』は一般的ではなく、夏休みの学習は家庭と学習塾が担う構造。これが SES による学力格差の拡大要因となっている可能性がある(cram-school-effect も参照)。公教育としてのサマースクール導入は、教員の労働環境・外部人材との連携が鍵。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(7)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果があるのか
  3. 日本の小学校で取り入れるヒント
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究
  7. 関連する学習指導要領

一言でいうと

夏休みなどの長期休暇中に、学校や地域で組織的に行う学習支援プログラムです。夏休みの学力低下(サマースライド)への対策として位置づけられます。不利な環境の子も、学習に焦点を当てた小集団・個別の指導であれば効果を得られると報告されていますが、参加を続けてもらうこと自体が課題です。EEF は、参加が続かないとかえって学力差が開きうると注意を促しています。

なぜ効果があるのか

長期休暇中は学習の機会が途切れ、特に低所得層の子どもは学力が後退します(夏休みの学力低下ページ参照)。サマースクールは、この空白期間に学習の時間を足すことで、9月のスタートラインを引き上げます。EEF によれば、効果を生んでいるのは追加された学習の時間そのものです。非学業の活動は、参加を続けてもらう助けになると報告されていますが、学力の向上には学習の要素そのものが必要とされます。

日本の小学校で取り入れるヒント

  • 夏休みの学習会を「補習」ではなく「学びの場」として位置づける(来たくなる雰囲気づくり)
  • 教科学習だけでなく、読書・工作・体験活動を組み合わせて魅力的にする
  • 地域のボランティア・大学生・保護者と連携して運営する
  • 特に支援が必要な子(家庭で学習環境が整いにくい子)が参加しやすい工夫をする
  • 楽しさと安心感で自然に集まる場にする

研究からわかっていること

  • EEF Toolkitでは効果量+3ヶ月。効果は読解と算数で同程度、小学校段階と中学校段階でも同程度と報告されています
  • 確実性評価は 5 段階中 2(low)にとどまります。無作為化比較試験でない研究の割合が高いためです
  • 集中的で、小集団または個別の指導を伴うプログラムほど効果が大きく、+5ヶ月と報告されています。子どもが既に知っている教師が担当する場合も有利です
  • 明確な学習の要素を持たないプログラムは、通常は学力の向上と結びつかないと報告されています。ただし EEF は、スポーツや芸術・文化的な体験それ自体に価値があり、低所得家庭の子にとっては普段得にくい機会にもなるとしています
  • 社会経済的に不利な子どもも、資源の裏づけがある小集団・個別の学習に焦点を当てたプログラムであれば効果を得られるとされています。一方で、参加の継続と離脱が課題だとも指摘されています

注意したいこと

  • 教師の夏休みの労働環境との兼ね合いが最大の課題で、外部人材の活用が現実的です
  • 「夏休みの宿題」とは異なり、組織的な学習支援プログラムであることがポイントです
  • 参加する子が固定化し、「勉強ができない子の場所」というラベリングにならないよう配慮します
  • 毎年継続することで効果が蓄積されるので、単年度で終わらせない設計が重要です

主な参考研究

  • Cooper, H., Charlton, K., Valentine, J. C., & Muhlenbruck, L. (2000). Making the most of summer school. Monographs of the Society for Research in Child Development, 65(1). — サマースクールの評価研究 93 件を統合したメタ分析とナラティブレビュー。
  • Kim, J. S., & Quinn, D. M. (2013). The effects of summer reading on low-income children’s literacy achievement from kindergarten to grade 8: A meta-analysis of classroom and home interventions. Review of Educational Research, 83(3), 386–431. — 幼稚園〜8 年生向けサマーリーディングプログラム 41 件のメタ分析。低所得層の子どもで効果が大きいことを示した。
  • Summer schools. Education Endowment Foundation, Teaching and Learning Toolkit. — 2025年5月のレビュー(69研究)で+3ヶ月、確実性評価は 5 段階中 2(low)。小集団・個別といった集中的な指導方法では+5ヶ月、明確な学習の要素を持たないプログラムは通常は学力の向上と結びつかない(ただし別の面での価値はありうる)としている。

関連する学習指導要領

参考にしている情報源
EEF Teaching and Learning Toolkit — Summer schools
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