← 指導法一覧へ戻る

Strategy — 最終更新 2026-04-14

Hattie

指導法

学校でのスマートフォン制限

学校でのスマホ使用を制限・禁止する措置。UNESCO(2023)が禁止を推奨。学力・社会性に小さいが正の効果。特に不利な環境の子に効果が大きい。

学習効果
+2ヶ月
3月時点で、通常より約2ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★☆☆☆
コスト
¥····
対象
全教科
全学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

Hattie (Visible Learning) d = 0.18

Hattie の効果量は他のメタ分析と比べて楽観的な傾向があり、再現性に疑問が示されている場合があります。参考値としてお読みください。詳しくは エビデンスの文脈 を参照。

Beland & Murphy(2016)の英国 4 都市の縦断研究では、スマートフォン禁止措置の導入後に GCSE 試験の成績が 0.07-0.08 SD 改善し、特に低学力層の子どもで効果が大きい(d≒0.14)。Kessel et al.(2020)のノルウェーの研究でも類似の結果。UNESCO(2023)GEM 報告書は各国の禁止動向をレビューし慎重な使用を推奨。

日本の文脈で考慮したいこと

日本の公立小中学校は従来スマートフォン持ち込みを原則禁止してきたが、災害時の連絡手段として持ち込みを認める動き(2020 年文部科学省通知等)がある。一方、GIGA スクール端末(Chromebook/iPad)は授業で使用される — この2つを区別する必要がある。個人スマホの制限 ≠ 学校 ICT の制限。中学校で持ち込みを認める自治体も増えているが、使用場面のルール設計が鍵。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(6)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果があるのか
  3. 日本の小学校との関連
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究

一言でいうと

学校内でのスマートフォンの使用を制限または禁止する措置です。UNESCO は2023年の報告書で、教室でのスマホ使用禁止を推奨しました。フランス・ノルウェー・オランダなど多数の国が法制化を進めています。

なぜ効果があるのか

スマートフォンは強力な注意散漫の原因です。通知、SNS、ゲームは子どもの注意を授業から奪います。制限することで:

  • 授業への集中時間が増える
  • 子ども同士の対面のコミュニケーションが増える
  • 休み時間の身体活動が増える
  • いじめ(サイバーいじめ)のリスクが減る

日本の小学校との関連

日本の小学校ではスマートフォンの持ち込みは原則禁止の学校が多いですが、以下の観点で重要です。

  • GIGAスクール端末の管理 — 1人1台端末は学習用だが、授業外での使い方が課題になっている
  • 休み時間の端末利用 — 学習と関係ない動画視聴やゲームへの対策
  • 家庭でのスクリーンタイム — 保護者への情報提供として、エビデンスを共有する意味がある
  • 中学進学を見据えた指導 — スマホとの付き合い方を小学校段階から考える機会

研究からわかっていること

  • UNESCOの報告では、14カ国のメタ分析でスマホの学力への負の効果(d=-0.16)が確認されている
  • 2025年のフロリダ州の研究(NBER)では、スマホ禁止により数学と国語の成績が向上(特に低成績層)
  • 社会経済的に不利な環境の子どもで効果が大きい傾向
  • ただし「禁止」だけでなく「適切な使い方を教える」アプローチも研究されている

注意したいこと

  • 日本の小学校ではスマホ持ち込み自体が少ないため、GIGAスクール端末の管理ルールに読み替える方が実践的
  • 「禁止」だけでは子どもはデジタルリテラシーを学べない。使い方の教育とセットにする
  • エビデンスの蓄積はまだ初期段階。研究の数が限られている(★★)
  • 家庭のスクリーンタイム管理は学校の範囲を超えるが、情報提供は可能

主な参考研究

参考にしている情報源
UNESCO Global Education Monitoring Report 2023 — Technology in education