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Strategy — 最終更新 2026-06-13

EEF Hattie

指導法

問題解決型学習

教えてから問題を解かせるのではなく、問題から出発して子ども自身が解き方を考える指導法。日本の算数教育(Japanese Problem Solving)として世界的に輸出された実践。

学習効果
+4ヶ月
3月時点で、通常より約4ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★★☆☆
コスト
¥····
対象
算数 · 理科 · 全教科
全学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

EEF Toolkit 0 ヶ月 ★★ ☆☆☆

EEF Toolkit に『Problem-solving teaching』の独立したエントリは無い。関連する Project-Based Learning の EEF 試験では正の効果が確認されなかった。探究学習(+5、ガイダンス付き)や直接教授(+5)の方が堅牢なエビデンス

Hattie (Visible Learning) d = 0.68

Hattie の効果量は他のメタ分析と比べて楽観的な傾向があり、再現性に疑問が示されている場合があります。参考値としてお読みください。詳しくは エビデンスの文脈 を参照。

Hattie の メタ分析を統合した教育研究。効果量で指導法を順位づけ">Visible Learning で d=0.68。ただし『問題解決型学習』の操作的定義は幅広く、純粋な放任型と構造化された指導型の両方が含まれる。後者の方が効果的。

Technical Appendix 研究の詳細
研究数
487 件
総サンプルサイズ
問題解決研究 487 報告をメタ分析で統合(問題解決者の特性/問題の難易条件/指導法の効果/教室条件の 4 領域)
効果量
図・スケッチを添えた問題提示形式が成績と直接関連し、その表現スキルの訓練が最大の改善をもたらした。発見的方法(ヒューリスティクス)の訓練を受けた教師の指導は児童生徒の成績に正の効果(統合効果量の数値は Hembree (1992) 論文本文が有料アクセス(NCTM ジャーナル)のため記載見送り。EEF Toolkit は無料公開)
エビデンスの限界

小学校段階(K-5)では優位な問題解決指導法が確認されていない。発見的指導の優位は中学(6-8 年)でやや見られ、高校で明確になる(出版社抄録より逐語確認)。1992 年のメタ分析で対象研究は古く、『問題解決型学習』の操作的定義も研究間で幅広い。

日本の文脈で考慮したいこと

日本の算数教育で広く実践される「問題提示 → 自力解決 → 練り上げ → まとめ」の授業構造は、世界的に『Japanese Problem Solving』として評価 され、シンガポールや TIMSS でも参照されている。ただし日本国内では、この枠組みの効果を RCT で検証した研究は極めて限定的。『問題解決型学習』の効果は『構造化の質』に強く依存する(放任型は逆効果の可能性)。日本の算数の授業構造そのものが、この構造化を体現している面がある。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(7)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果があるのか
  3. 日本の小学校で取り入れるヒント
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究
  7. 関連する学習指導要領

一言でいうと

まず問題を提示し、子どもが自力で考え、多様な解法を出し合い、比較・検討することで理解を深める学習です。 日本の「問題解決学習」は国際的に高く評価されており、TIMSSビデオ研究などで注目されてきました。

なぜ効果があるのか

教師が解き方を先に見せてしまうと、子どもは「手順の再現」に終始しがちです。問題から出発することで、既有知識を総動員する必要が生まれ、概念的な理解が促されます。 また、異なる解法を比較・検討する「練り上げ」の過程で、数学的な見方・考え方が鍛えられます。 結果として、転移可能な深い理解が育ちます。

日本の小学校で取り入れるヒント

  • 「本時の問題」を1つに絞り、子どもが多様な解法を出せるような問題を選ぶ
  • 自力解決の時間を十分に確保し、机間指導で子どもの考えを把握する
  • 全体共有では2〜3つの解法を意図的に取り上げ、比較・検討させる
  • 「練り上げ」の場面で「どこが同じ?どこが違う?」と問いかけ、数学的な見方を引き出す
  • 板書計画を事前に立て、子どもの思考の流れが見える板書を意識する

研究からわかっていること

  • 問題解決型の指導は、手続き的な知識だけでなく概念的理解を育てることが確認されています。
  • 日本の算数授業はTIMSSビデオ研究で「問題解決型」の典型として分析されました。
  • 教師の発問の質と「練り上げ」の深さが、学習効果を大きく左右します。
  • 効果量は約4ヶ月分とされていますが、教師の力量への依存度が高い手法です。
  • ただし487報告のメタ分析(Hembree 1992)では、小学校段階(K-5)で優位な指導法は確認されておらず、発見的指導の優位が明確になるのは高校段階です。小学校では「型」より教師の発問・練り上げの質が鍵になります。

注意したいこと

  • 「問題を出して放置」では効果は出ません。教師の見取りと発問が不可欠です。
  • 基礎的な計算力が不足していると、問題解決以前につまずく子どもが出ます。基礎練習との両立が大切です。
  • 1時間の授業で「つかむ→考える→比べる→まとめる」の流れを無理に詰め込みすぎないよう注意が必要です。

主な参考研究

  • Hiebert, J., Gallimore, R., Garnier, H., et al. (2003). Teaching Mathematics in Seven Countries: Results from the TIMSS 1999 Video Study. NCES. — 7カ国の数学授業をビデオ分析。日本の授業が問題解決型の構造を持つことを国際比較で明示。
  • Stigler, J. W., & Hiebert, J. (1999). The Teaching Gap: Best Ideas from the World’s Teachers for Improving Education in the Classroom. Free Press. — 日本の授業研究と問題解決型学習の強みを国際的に紹介した著作。
  • Kapur, M. (2014). Productive failure in learning math. Cognitive Science, 38(5), 1008–1022. — 最初に「失敗」する経験が、その後の理解を深めることを実証。問題解決型学習の理論的根拠を補強。
  • Hembree, R. (1992). Experiments and relational studies in problem solving: A meta-analysis. Journal for Research in Mathematics Education, 23(3), 242–273. — 487報告を統合した問題解決研究の包括的メタ分析。図解付き問題提示と表現スキル訓練の効果、学校段階による指導法効果の違いを示した。

関連する学習指導要領

  • 小学校学習指導要領解説 総則編 — 算数科における「数学的活動」として、日常の事象や数学の事象から問題を見いだし、解決する活動が明記されています。問題解決型学習はその中核的な手法です。
参考にしている情報源
Visible Learning — Problem solving teaching