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Strategy — 最終更新 2026-04-14

EEF

指導法

マスタリーラーニング

全員が一定の到達基準に達するまで学習を進める方式。理解の差を時間で吸収する。

学習効果
+5ヶ月
3月時点で、通常より約5ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★★☆☆
コスト
¥¥···
対象
全教科
全学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

EEF Toolkit + 5 ヶ月 ★★★ ☆☆

EEF Toolkit で +5ヶ月・エビデンス★3(中)。Kulik, Kulik & Bangert-Drowns(1990)の 108 研究メタ分析で d=0.52。ただし研究の多くが 1970-80 年代と古く、近年の質の高い RCT は限定的。到達度確認と再指導の仕組みがあるときに効果が出る。

日本の文脈で考慮したいこと

日本の算数教育では「習熟度別指導」や「チェックテスト後の補充」として類似の考え方が広く実践されている。ただし、EEFマスタリーラーニングの本質は『全員が到達するまで進まない』という時間の可変性にあり、日本の学年制・時数固定のカリキュラムとは構造的に相性が悪い面がある。単元内の形成的評価と再指導の組み合わせとして取り入れやすい。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(7)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果があるのか
  3. 日本の小学校で取り入れるヒント
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究
  7. 関連する学習指導要領

一言でいうと

学級全員が学習目標に到達してから次に進む、という方針で授業を進める方式です。 「同じ時間で同じ量を」ではなく、「同じ到達点を、必要な時間をかけて」が基本姿勢です。

なぜ効果があるのか

通常の授業は時間を固定し、理解度を変動させます(時間が来たら次に進む)。 マスタリーラーニングは到達度を固定し、時間を変動させます。 これにより、つまずきが積み重なって取り返しがつかなくなる前に、全員が次に進める状態を作れます。

日本の小学校で取り入れるヒント

  • 単元の終わりに「到達したか」を確認する小テストを必ず入れる
  • 到達していない子には別の課題ではなく、同じ目標への別のアプローチを用意する
  • すでに到達した子には、深める課題(発展問題・教える役・他の表現)を用意する
  • 「全員ができるようになる」ことを学級の文化として共有する
  • 速く進む子と時間がかかる子を分けるのではなく、互いに学び合える設計にする

研究からわかっていること

  • 平均的に、学習は約5ヶ月分前進します。
  • 効果は、到達度の確認と再指導の仕組みがしっかり組まれているときに大きくなります。
  • 算数のように到達点が明確な教科で導入しやすい傾向があります。

注意したいこと

  • 「全員が到達するまで進めない」を厳格に運用すると、進度の速い子が退屈してしまいます。
  • 教師の準備工数が増えます。再指導用の教材や発展課題を事前に用意する必要があります。
  • 到達基準を低く設定しすぎると形骸化します。

主な参考研究

  • Bloom, B. S. (1984). The 2 sigma problem. Educational Researcher, 13(6), 4–16. — マスタリーラーニング+個別指導の組み合わせで2σ(標準偏差2つ分)の効果があることを示した歴史的論文。
  • Kulik, C. C., Kulik, J. A., & Bangert-Drowns, R. L. (1990). Effectiveness of mastery learning programs. Review of Educational Research, 60(2), 265–299. — 108研究のメタ分析。マスタリーラーニングの効果量d=0.52。到達度確認と再指導の仕組みが鍵。
  • Guskey, T. R. (2010). Lessons of mastery learning. Educational Leadership, 68(2), 52–57. — マスタリーラーニングの実践的な導入方法を解説。形成的評価との接続を強調。

関連する学習指導要領

  • 小学校学習指導要領解説 総則編 — 「個に応じた指導の充実」の節で、子どもの特性に応じた指導方法の工夫が求められています。マスタリーラーニングの考え方と接続します。
参考にしている情報源
EEF Teaching and Learning Toolkit — Mastery learning