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Strategy — 最終更新 2026-04-17

EEF Hattie

指導法

コンセプトマップ

概念同士の関係を線でつないで視覚化することで、知識の構造を整理し理解を深めるツール。複数のメタ分析で d=0.58-0.72 と中程度〜大きな効果。作るほうが読むより効果的。

学習効果
+6ヶ月
3月時点で、通常より約6ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★★★☆
コスト
¥····
対象
全教科
中学年 · 高学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

EEF Toolkit 0 ヶ月 ★★★ ☆☆

EEF Toolkit にコンセプトマップの独立したエントリは無いが、複数の独立した教育心理学メタ分析で効果が確認されている。

Hattie (Visible Learning) d = 0.64

Hattie の効果量は他のメタ分析と比べて楽観的な傾向があり、再現性に疑問が示されている場合があります。参考値としてお読みください。詳しくは エビデンスの文脈 を参照。

Hattie の メタ分析を統合した教育研究。効果量で指導法を順位づけ">Visible Learning で d=0.64。Schroeder et al.(2018)のメタ分析では、『作る(g=0.72)』方が『読む(g=0.43)』より効果的。STEM 教科では d=0.63 程度。L2 学習では g=1.05 と特に大きな効果。

Technical Appendix 研究の詳細
研究数
142 件
総サンプルサイズ
11,814人(独立効果量ベース、1972〜2014 年の研究を統合)
効果量
g=0.58(ランダム効果モデル)。作成 g=0.72 / 閲覧 g=0.43
主要メタ分析
Schroeder, Nesbit, Anguiano & Adesope (2018). Studying and Constructing Concept Maps: a Meta-Analysis
エビデンスの限界

『コンセプトマップ』の定義は幅広く、実施形態(紙 vs デジタル、個人 vs ペア、評価の有無)で効果量が変動する。メタ分析は 1972〜2014 年の研究が中心で、近年のデジタルツール前提の授業とは条件が異なる可能性がある。日本の『思考ツール』実践との重なりは大きいが、効果の中核は『作成プロセスを子ども自身が経る』点にある。

日本の文脈で考慮したいこと

日本の授業で「思考ツール」として Y字チャート・ベン図・マトリクス等が広く使われており、コンセプトマップも同じ系譜に位置づく。ただし、メタ分析が示すように 子ども自身が作ること が鍵。教師が提示したマップを写すだけでは効果が限定的。日本の思考ツール指導で「作成のプロセス」と「振り返り」を強化することで、追加の効果が期待できる。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(7)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果があるのか
  3. 日本の小学校で取り入れるヒント
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究
  7. 関連する学習指導要領

一言でいうと

学んだことを「言葉(概念)」と「線(関係)」で図に表す活動です。 ノートにまとめるだけでなく、知識のつながりを目に見える形にすることで、理解の質が変わります。

なぜ効果があるのか

知識はバラバラの事実の集まりではなく、概念同士がネットワーク状につながった構造を持っています。コンセプトマップを作る過程で、子どもは「この概念とあの概念はどう関係しているのか」を明示的に考える必要があります。 この作業が、表面的な暗記ではなく構造的な理解を促します。 また、自分の理解の「穴」に気づきやすくなるメタ認知的な効果もあります。

日本の小学校で取り入れるヒント

  • 単元の終わりに「学んだことマップ」として作成させると、知識の整理に役立つ
  • 最初は教師が途中まで作ったマップを見せ、残りを子どもに埋めさせる(部分完成型)
  • 線の上に「〜だから」「〜の一種」などの関係語を書かせると、思考が深まる
  • 理科の「もののとけ方」や社会の「地域の産業」など、関係性が豊かな単元で特に有効
  • ペアで互いのマップを見比べ、違いについて話し合う活動を入れる

研究からわかっていること

  • メタ分析では平均約6ヶ月分の学習効果が確認されています。
  • 既成のマップを読むだけより、自分で作成する方が学習効果は高いです。
  • コンセプトマップは評価ツールとしても活用でき、子どもの理解構造を可視化できます。
  • 教科を問わず効果があり、特に理科や社会など概念関係が複雑な教科で有効です。

注意したいこと

  • 「きれいなマップを作ること」が目的化しないよう注意が必要です。大切なのは関係性を考える過程です。
  • 低学年には抽象度が高いため、まずはウェビング(くもの巣マップ)など簡易な形式から始めるとよいでしょう。
  • デジタルツールを使う場合、操作の学習に時間が取られすぎないよう配慮が必要です。

主な参考研究

  • Nesbit, J. C., & Adesope, O. O. (2006). Learning with concept and knowledge maps: A meta-analysis. Review of Educational Research, 76(3), 413–448. — 55研究のメタ分析。コンセプトマップの学習効果を教科横断的に確認。自作マップの方が既成マップの読解より効果が高いことを示した。
  • Novak, J. D., & Cañas, A. J. (2008). The theory underlying concept maps and how to construct and use them. IHMC Technical Report. — コンセプトマップの理論的背景と実践的な作成方法を体系的に整理。

関連する学習指導要領

  • 小学校学習指導要領解説 総則編 — 「主体的・対話的で深い学び」の実現において、思考を可視化するツールの活用が推奨されています。コンセプトマップは、情報と情報の関係を整理し深い理解につなげる手立てとして位置づけられます。
参考にしている情報源
Studying and Constructing Concept Maps: a Meta-Analysis (Schroeder et al., 2018)