一言でいうと
学級担任を支える支援員・補助員を配置する取り組みです。 ただ配置するだけでは学力効果が出ず、役割の明確化と訓練が効果を大きく左右します。
なぜ効果があるのか
うまく活用できれば、補助スタッフは個別の支援を必要とする子に手厚い関わりを提供でき、担任は学級全体に集中できます。 しかし、補助スタッフの役割が不明確なまま配置されると、特定の子を「教えてもらうだけの存在」にしてしまい、結果として学力が伸びない事例が報告されています。
日本の小学校で取り入れるヒント
- 補助スタッフに「何をしてほしいか」を具体的に共有する時間を毎日数分でも持つ
- 子どもへの関わり方(答えを言わない・考えさせる)を担任と統一する
- 補助対象の子が、補助スタッフに依存しすぎないよう設計する
- 補助スタッフの観察を、担任の指導に活かす対話の時間を持つ
- 「教える」より「支える」役割を中心にする
研究からわかっていること
- ストランド全体では、平均的に学習は約4ヶ月分前進します。ただしこの平均の内訳は大きく割れています。
- 支援員を通常の教室に置くだけでは、学力への正の効果は確認されていません。
- 効果が大きいのは、訓練を受けたスタッフが決まった手順の介入を個別・小集団で行う形で、平均 4〜6ヶ月分です。
- 配置の有無より、活用の質が効果を大きく左右します。
注意したいこと
- 補助スタッフに丸投げすると、対象の子が学級から疎外されることがあります。
- 役割が曖昧なまま「とりあえず配置」されると、学力効果が出ないどころか逆効果になり得ます。
- 担任と補助スタッフの連携時間を確保することが、運用の鍵です。
主な参考研究
- Deployment of Teaching Assistants. Education Endowment Foundation (2025, Third Edition), Guidance Report. — 支援員の配置と活用について 5 つの推奨事項を示した EEF の公式ガイダンス(以前は同じページで『Making Best Use of Teaching Assistants』として公開)。DISS Project(Blatchford らによる英国の大規模研究)などの従来の知見と新たな系統的レビューをもとに、支援員の役割の設計と訓練を重視している。
- Sharples, J., Webster, R., & Blatchford, P. (2015). Making Best Use of Teaching Assistants: Guidance Report. Education Endowment Foundation. — 上のガイダンスの初版(2015 年 3 月)。7 つの推奨事項を示し、訓練を受けた支援員による構造化された介入の効果を約 3〜4 ヶ月分(効果量 0.2〜0.3)としている。
- Teaching Assistant Interventions. Education Endowment Foundation, Teaching and Learning Toolkit. — 平均 +4 ヶ月(65 研究)。配置の仕方で効果が大きく分かれ、構造化された個別・小集団の介入では 4〜6 ヶ月分としている。
関連読み物
- 『Reassessing the Impact of Teaching Assistants』 Blatchford, P., Russell, A., & Webster, R. (2012), Routledge. — 上記 EEF ガイダンスの基礎となった DISS Project の詳細をまとめた英国発の書籍。
関連する政策動向
学力向上や特別支援のために補助スタッフの配置が進められています。しかし研究では、ただ配置するだけでは効果が出ない(むしろ逆効果になり得る)ことが示されています。役割の明確化・訓練・担任との連携時間の確保が、この政策の効果を決定づけます。
関連する学習指導要領
- 小学校学習指導要領解説 総則編 — 「指導方法や指導体制の工夫改善など個に応じた指導の充実」の節で、教師間の協力による指導体制を確保することや、学校外の様々な分野の専門家の参加・協力を得ることが挙げられています。同解説に「支援員」「補助員」という語は使われていません。