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Strategy — 出典の最終確認 2026-09-08

EEF

指導法

少人数指導

通常学級より小さな集団で行う指導。EEF は中程度の効果・低コストと評価しており、個別指導より効果は小さいが費用対効果の高い選択肢になりうるとしている。

学習効果
+4ヶ月
3月時点で、通常より約4ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★★★☆
コスト
¥¥¥··
対象
全教科
全学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

EEF Toolkit + 4 ヶ月 ★★★ ☆☆

EEF Toolkit で +4ヶ月・エビデンス★3(62 研究、'based on moderate evidence')。EEF は 6〜7 人を超えると効果が落ちるとしている。Nickow, Oreopoulos & Quan(2020)の 96 件 RCT メタ分析は全体で d ≈ 0.37 を報告するが、6 人という閾値は分析していない。

Technical Appendix 研究の詳細
研究数
96 件
総サンプルサイズ
幼児〜高校生(PreK-12、96 件 RCT)
効果量
d ≈ 0.37(全体)。1 対 1 が最も大きいが、1 対 1 を超える比率との差は統計的に有意でない(係数 −0.11、SE 0.070)。『6〜7 人を超えると効果が落ちる』は Nickow らではなく EEF Toolkit 側の記述
主要エビデンスレビュー
エビデンスの限界

実施者によって効果が減衰(教師 > 訓練を受けた補助員 > ボランティア)。短期集中(8〜12 週間)で最も効果が出やすく、長期化で逓減。『少人数指導』と『少人数学級』の混同に注意(後者は EEF 別項目で効果限定的)。

日本の文脈で考慮したいこと

日本では『少人数学級』と『少人数指導』が混同されがちだが、EEF のエビデンスは 学級規模の縮小(reducing class size)ではなく、小集団での補充・発展指導 に関するもの。文部科学省が進める 35 人学級化は学級規模縮小であり、EEF では別項目(効果は限定的)として扱われる。習熟度別少人数指導・TT・支援員との連携などが EEF の少人数指導に対応する。ラベリング回避とグループ流動化が日本でも有効。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(7)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果があるのか
  3. 日本の小学校で取り入れるヒント
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究
  7. 関連する学習指導要領

一言でいうと

2〜5人程度の小グループで行う指導です。 1対1の個別指導と通常の一斉指導の中間的な性質を持ちます。EEF Teaching and Learning Toolkit は、少人数指導を、低いコストで中程度の効果が得られる取り組みと評価しています。

なぜ効果があるのか

小集団では、教師は一人ひとりのつまずきに目が届き、子ども同士の対話も生まれます。 1対1ほど高密度ではありませんが、その分、子どもが他者の考えに触れる機会を得られます。 また、人数が限られているため、発言しない子をなくしやすいのも強みです。

日本の小学校で取り入れるヒント

  • 算数の習熟度別グループで、つまずきのある子のグループを少人数化する
  • TT(チームティーチング)や支援員と連携して、一時的に少人数を作る
  • 国語の音読や読解で、声の小さい子・読みのつまずく子を集めて短時間の少人数指導をする
  • 課題が同じレベルの子を集めるのではなく、「同じ課題に取り組む方法」を一緒に試す場とする
  • 少人数で得た理解を、戻った後の通常学級で発揮できるよう橋渡しする

研究からわかっていること

  • 平均的に、学習は約4ヶ月分前進します。ただしこれは効力試験を中心とした平均です。イングランドの大規模実装(National Tutoring Programme)を独立評価した NFER の報告では、学校主導のチューターによる算数の改善は 1 か月程度にとどまり、学習メンターや個別指導事業者の経路では英語・算数とも改善の証拠が得られませんでした。
  • 授業の前に少人数で短く先取りして教える指導(プリティーチング)を、EEF が試験で検証しました(One Step Ahead、2026)。対象はイングランドの Year 1〜2〔5〜7 歳〕で、先取り指導が役立ちそうだと教員が考えて学級ごとに選んだ 12 人を、先取り指導を受ける 6 人と受けない 6 人に無作為に分けています(75 校・2,609 人)。算数の推論力への効果は確認されませんでした(効果量 0.01)。1 回 10〜15 分・週 2 回以上を 1 学期続ける計画でしたが、終了時の教員調査に回答した教員の 72% が、1 日の中で時間を確保するのが難しかったと答え、推奨より短い回や取りやめになった回もありました。1 学級 12 人という人数の決まりのため、教員が本来は対象にしない子も先取りの群に入り、学力の混ざった集団になったことも報告されています。教員は子どもの自信や授業への参加が高まったと感じていましたが、算数の推論力にも算数への不安にも、測定上の改善は表れませんでした。報告書は、この結果が方法そのものの効果よりも、時間の確保や対象の絞り込みといった実施の難しさを反映している可能性を挙げています。1 回の試験で、試したのは少ない量の特定のやり方です。
  • EEF は、グループサイズが2〜5人のときに効果が大きく、6〜7人を超えると効果が落ちるとしています。
  • EEF Toolkit では、少人数指導が +4 ヶ月・コスト評価「低」、個別指導 が +5 ヶ月・コスト評価「中」とされています。EEF は個別指導の項目で、次のように述べています。「1 対 1 ではなく小集団で、あるいはティーチング・アシスタントを通じて指導する方法は、平均すると正の効果は小さいが、的を絞った支援を届ける費用対効果の高い方法になりうる」(EEF Teaching and Learning Toolkit「One to one tuition」)。1 対 1 と小集団を直接比べた研究の結果はまちまちで、少人数指導の項目では、読みでは小集団の方がよい場合もあるとしています。

注意したいこと

  • グループ分けが固定化すると、子どもの自己評価に影響を与えます。流動的に運用します。
  • 「できない子のためのグループ」というラベリングを避けるために、目的を子どもにも伝えます。
  • 通常学級の指導と切り離さず、補完関係になるよう設計します。

主な参考研究

  • Nickow, A., Oreopoulos, P., & Quan, V. (2020). The impressive effects of tutoring on preK-12 learning: A systematic review and meta-analysis of the experimental evidence. NBER Working Paper 27476. — 少人数指導を含む 96 件の RCT のメタ分析。小グループ(2〜5 人)でも 1 対 1 に近い効果が得られることを示した。
  • Small group tuition. Education Endowment Foundation, Teaching and Learning Toolkit. — 少人数指導の Toolkit ストランド。効果量 +4 ヶ月、グループサイズ 6 人以下で効果が大きい。
  • Independent evaluation of the National Tutoring Programme: Year 2 impact evaluation. National Foundation for Educational Research (2023). — 英国政府委託の独立評価。学校主導のチューターによる算数の改善は 1 か月程度にとどまり、学習メンター・個別指導事業者の経路では英語・算数とも改善の証拠が得られなかった。
  • Forsyth, E., Harjani, T., Daly, N., & Taylor, P. (2026). One Step Ahead: Evaluation report. Education Endowment Foundation. — イングランドの Year 1〜2〔5〜7 歳〕の算数で、先取り指導が役立ちそうだと教員が選んだ児童を対象に、授業前の少人数の先取り指導を児童単位で無作為に割り付けた試験(評価は Behavioural Insights Team)。算数の推論力の効果量は 0.01(95% 信頼区間 −0.07〜0.09)、給食無償の対象児童は −0.09(同 −0.25〜0.07)で、一部の児童に限った分析のため全体より確かさが低いと報告書は述べている。結果の確かさは、報告書では「中〜高」、EEF の試験ページでは「低〜中」と表記が分かれている。1 回の試験で、試したのは 1 回 10〜15 分・週 2 回以上・1 学期という少ない量の、特定のやり方に限られる。
  • Slavin, R. E., Lake, C., Davis, S., & Madden, N. A. (2011). Effective programs for struggling readers: A best-evidence synthesis. Educational Research Review, 6(1), 1–26. — 読みに困難を持つ児童向けの指導プログラムを系統的に集約。構造化された少人数指導プログラム(1 対 1 または 2〜5 人)が効果的と報告。

関連する学習指導要領

  • 小学校学習指導要領解説 総則編 — 「指導方法や指導体制の工夫改善など個に応じた指導の充実」の節で、個別学習やグループ別学習、学習内容の習熟の程度に応じた学習などを取り入れることが挙げられています。このうち習熟の程度に応じた指導については、学級内で学習集団を編成する場合と、学級の枠を超えて編成する場合が考えられるとされています。同解説に「少人数指導」という語は使われていません。
参考にしている情報源
EEF Teaching and Learning Toolkit — Small group tuition
このページを引用するときの表記例

「少人数指導」EduEvidence JP(CC BY-SA 4.0)。https://edu-evidence.org/strategies/small-group-tuition/ (出典の最終確認 2026-09-08、参照 YYYY-MM-DD)

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