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Strategy — 出典の最終確認 2026-09-28

Hattie

指導法

足場かけ(スキャフォールディング)

子どもが一人ではできないことを、段階的に支援し、次第に支援を減らしていく指導法。Belland らのメタ分析では小〜中程度の効果(g ≈ 0.46)。ヴィゴツキーの ZPD 概念が理論的基盤。

学習効果
+4ヶ月
3月時点で、通常より約4ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★★☆☆
コスト
¥····
対象
全教科
全学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

Hattie (Visible Learning) d = 0.82

Hattie の効果量は他のメタ分析と比べて楽観的な傾向があり、再現性に疑問が示されている場合があります。参考値としてお読みください。詳しくは エビデンスの文脈 を参照。

d = 0.82 は Visible Learning の 2017 年版一覧(Visible Learningplus、2017 年 11 月版)の値。現行のデータベース(Visible Learning MetaX)の Scaffolding and situated learning は 0.57(重み付き平均 0.50)で、Belland らのメタ分析も集計に含まれる。個別のメタ分析では、Belland et al.(2017)のコンピューター上の足場かけ(STEM・認知面の成果)で g = 0.46、オンライン学習で 0.53(Zuo et al. 2023)、高等教育のオンライン学習の認知面の成果で g = 0.65(Doo et al. 2020。メタ認知・情意を含む学習成果全体では 0.87。この値は MetaX の集計にも入っている)。

Technical Appendix 研究の詳細
研究数
144 件
総サンプルサイズ
144 実験研究 / 333 効果量(STEM 学習者、K-12〜高等教育)
効果量
Hedges' g = 0.46(小〜中)
主要エビデンスレビュー
エビデンスの限界

Belland メタ分析はコンピューターベース足場かけを対象としており、一般的な対面の足場かけ全体とは厳密には異なる。Van de Pol et al. (2010) の枠組み(contingency / fading / transfer of responsibility)が背景。fading はこの枠組みで足場かけを定義する要素の一つだが、Belland メタ分析では fading の有無で効果に差は見られなかった。EEF Toolkit には独立したエントリは無く、Metacognition and self-regulation(+8 ヶ月)のページで、メタ認知を支える支援の一つとして触れられている。

日本の文脈で考慮したいこと

足場かけは日本の授業研究(授業デザイン、ヒントカード、段階的な発問など)の中で広く実践されている概念で、文化差は小さい。EEF Toolkit に独立したエントリは無い。効果の目安は、Belland らのメタ分析の g ≈ 0.46 を換算した約 +4 ヶ月(d=0.1 ≈ 1ヶ月、端数切り捨て)。Hattie の 2017 年版の d = 0.82 はこれより大きいが、現行の集計値は 0.57 で、このページで挙げたメタ分析の認知面の値にも 0.46〜0.65 の幅がある。代表値には、対象が明確な Belland らの値を用いている。日本では「ヒントを出しすぎる」傾向があり、足場かけの定義に含まれる「段階的に支援を外す(fading)」の実践が不十分な場合がある。ただし、支援を外すこと自体が効果を大きくするかについて、Belland らのメタ分析では fading の有無による差は見られなかった。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(7)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果があるのか
  3. 日本の小学校で取り入れるヒント
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究
  7. 関連する学習指導要領

一言でいうと

子どもが今の力だけではできない課題に取り組むとき、教師が適切な支援(ヒント・手順の分解・モデルの提示など)を段階的に提供し、子どもができるようになるにつれて支援を減らしていく指導法です。ヴィゴツキーの 「最近接発達領域」(ZPD、一人ではできないが支援があればできる範囲) に基づく考え方です。

なぜ効果があるのか

難しすぎる課題は挫折を、簡単すぎる課題は退屈を生みます。足場かけは「ちょうど手が届くところ」に課題を設定し、必要な支援を付けることで、子どもが自力で到達できる範囲を広げます。支援を段階的に外す(fading)ことで、最終的に子どもが自立して取り組めるようになることを目指します。

日本の小学校で取り入れるヒント

  • 算数の文章題で、いきなり解かせるのではなく「まず何が分かっていて、何を求めるか整理しよう」と手順を分ける
  • 作文で、構成メモのテンプレートを渡す(慣れたら外す)
  • 教師が自分の思考を声に出して見せる(モデリング)→ 子どもと一緒にやる → 子どもに任せる、の3段階
  • 「困ったらここを見てね」というヒントカードを教室に掲示する
  • 支援を外すタイミングを意識する。最終的に子どもが一人で取り組めるようにするのが足場かけのねらい

研究からわかっていること

  • Belland et al. (2017) のメタ分析(144 研究、STEM 領域のコンピューターベース足場かけ)では Hedges’ g = 0.46(小〜中程度)
  • Hattie の Visible Learning は 2017 年版の一覧で d = 0.82(コーエンの d、効果の大きさを示す指標)。現行のデータベースでは 0.57 で、Belland らのメタ分析も集計に含まれる
  • オンライン学習での足場かけのメタ分析では 0.53(Zuo et al. 2023)。高等教育のオンライン学習を対象にした別のメタ分析では、認知面の学習成果で g = 0.65(Doo et al. 2020)
  • EEF Toolkit に独立エントリは無く、Metacognition and self-regulation(+8 ヶ月)のページで、メタ認知を支える支援の一つとして触れられている
  • van de Pol, Volman & Beishuizen (2010) のレビューは、足場かけの鍵となる特徴を 3 つ(子どもの様子に応じて支援を変える / 段階的に支援を外す / 子どもに任せる範囲を広げる)に整理した。効果を示唆する結果はあるが、効果を確かめた研究はまだ少ないとしている
  • Belland et al. (2017) の対象は STEM(科学・技術・工学・数学)領域に限られる。ほかの教科での効果は、このメタ分析からは言えない

注意したいこと

  • 「足場かけ」と「答えの先出し」は異なる。考えるプロセスを支援するのであって、答えを教えるのではない
  • 支援を外すタイミングの判断が難しい。子どもの様子を観察して見極める力が必要
  • 一律の足場(全員に同じヒント)と個別の足場(つまずきに応じたヒント)のどちらが効果的かは、はっきりしていない。Belland et al. (2017) では、コンピューター上の支援で、学習者の成績に応じて支援を変える方式と変えない方式などの間に効果の差は見られなかった
  • 授業準備の負荷が増えるが、定型的な足場(テンプレート・チェックリスト)は使い回せる

主な参考研究

関連する学習指導要領

参考にしている情報源
Belland et al. (2017) — Synthesizing Results From Empirical Research on Computer-Based Scaffolding in STEM Education
このページを引用するときの表記例

「足場かけ(スキャフォールディング)」EduEvidence JP(CC BY-SA 4.0)。https://edu-evidence.org/strategies/scaffolding/ (出典の最終確認 2026-09-28、参照 YYYY-MM-DD)

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