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Strategy — 出典の最終確認 2026-09-28

EEF Hattie

指導法

直接教授法(明示的指導)

学習目標を明確にし、教師がモデルを示し、段階的に子どもへ任せていく構造化された指導法。半世紀分のメタ分析で総合 d=0.54(調整後 0.60)、Hattie は d=0.59 と報告。

学習効果
+5ヶ月
3月時点で、通常より約5ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★★☆☆
コスト
¥····
対象
全教科
全学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

EEF エビデンスレビュー

EEF Toolkit に独立した項目は無い。EEF の SEND(特別な教育的ニーズ)に関するエビデンスレビューは、explicit instruction を支持する系統的レビューを 4 本挙げている。EEF ブログ『What exactly is explicit instruction?』(2023 年 4 月)によると、含まれる研究は計 116 本で、さまざまな SEND のある子どもが対象。挙げている要素は、小さなステップで教える・具体例と反例を用いる・明確な言葉で説明する・よくある誤概念を想定する・重要な内容を強調して不要な情報を除く、の 5 つ。月数と確実性は公表していないため、2026-09-13 に効果の目安の出典を Stockard et al.(2018)のメタ分析に改めた(月数は変えていない)。

Hattie (Visible Learning) d = 0.59

Hattie の効果量は他のメタ分析と比べて楽観的な傾向があり、再現性に疑問が示されている場合があります。参考値としてお読みください。詳しくは エビデンスの文脈 を参照。

Hattie の Visible Learning では d=0.59 を報告。本ページの +5ヶ月は Stockard et al.(2018)の総合推定値 d=0.54(95% CI 0.49〜0.59)の換算(d=0.1≈1ヶ月)で、調整後の 0.60 や Hattie の 0.59 より低い側を採っている。

Technical Appendix 研究の詳細
研究数
328 件
総サンプルサイズ
413 研究設計 / 約 4,000 効果(1966〜2016 の半世紀、就学前〜大学生)
効果量
総合 d=0.54(95% CI 0.49〜0.59)。読み・算数・言語・スペリングで 0.51〜0.66(調整後は 0.37〜1.07)の有意な正効果。情意面は調整前 0.33 で有意だが、メタ回帰で調整すると 0.14 となり有意でない。介入終了後の維持期にも効果が続く
主要エビデンスレビュー
エビデンスの限界

『Direct Instruction』は Engelmann 由来の体系化されたプログラム群(DISTAR 等)を含み、単なる『講義型』の同義語ではない。日本の『一斉指導』と完全には重ならない。教材のスクリプト化・反応確認・マスタリー前提の反復が本質で、この要素が薄いと効果は得にくい。著者らはこの論文の一部を National Institute for Direct Instruction に非常勤で雇用されていた期間に執筆している(原典の注記)。効果量は研究の質で揺れる — 同論文でも無作為割付の研究ほど効果が小さく、包括的学校改革モデルとして集計した Borman et al.(2003)は d=0.21(95% CI 0.17〜0.25)と報告している。

日本の文脈で考慮したいこと

日本の一斉授業は「明示的指導」の要素を多く含んでいるが、EEF が定義する「モデル提示 → 段階的な移行(I do, We do, You do)」の明確な構造とは必ずしも一致しない。特に「よくある誤概念の想定」や「小さなステップへの分解」の意識が弱い場合がある。現在の一斉指導に EEF の原則を統合することで、追加の効果が期待できる可能性がある。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(7)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果があるのか
  3. 日本の小学校で取り入れるヒント
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究
  7. 関連する学習指導要領

一言でいうと

教師が学習目標を明示し、やり方の見本を見せ(モデリング)、一緒に練習し(ガイド付き練習)、最後に子どもが自力でやる(独立練習)という段階を踏む指導法です。 「教師が一方的に話す講義」とは全く別物であり、子どもの反応を見ながら進める対話的な授業です。

なぜ効果があるのか

子どもにとって新しいことを学ぶとき、最初から自力で発見するのは認知的な負荷が大きすぎることがあります。直接教授法は、教師が思考のプロセスを外化して見せることで、子どもの認知負荷を適切に管理します。 段階的に足場を外していくことで、最終的には子どもが自力で問題に取り組める状態を目指します。 Rosenshine の「指導の原則」(2012)は、効果的な教師の授業行動を 10 の原則にまとめたものです(後年の書籍版で 17 原則に拡張)。

日本の小学校で取り入れるヒント

  • 本時のめあてを子どもの言葉で確認し、ゴールを明確にしてから授業を始める
  • 教師が「考え方の見本」を声に出して見せる(Think Aloud)。「先生はこう考えるよ」と思考を外化する
  • 一度に教える量を絞り、こまめに「わかったか確認」を入れる(確認質問・ミニクイズ)
  • ガイド付き練習では机間指導しながら、つまずきを早期に拾い、全体にフィードバックする
  • 独立練習は「やらせっぱなし」にせず、できた子から見取り、追加課題や支援を用意する

研究からわかっていること

  • 平均的に約5ヶ月分の学習効果が報告されています。ただし推定値は研究の質やプログラムの範囲で揺れます(Technical Appendix)。
  • 基礎的な知識・技能の習得に特に効果が高いですが、応用的な課題にも有効です。
  • 「教師主導=受動的な学習」ではありません。効果的な直接教授は高度に対話的です。
  • Rosenshine の「指導の原則」(2012)は、教師教育の文脈で広く引用される論文の一つです。

注意したいこと

  • 「直接教授法=教師が話し続ける」という誤解に注意が必要です。子どもの反応を見取り、柔軟に調整することが本質です。
  • 探究的な学習や問題解決型学習と対立するものではなく、目的に応じて使い分けるべきです。
  • 教師のモデリングが形式的になると効果が下がります。自分の思考を本当に外化しているかが問われます。

主な参考研究

関連する学習指導要領

  • 小学校学習指導要領解説 総則編 — 学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」を推進していますが、それは教師の明示的な指導を否定するものではありません。基礎的・基本的な知識および技能の確実な習得が繰り返し強調されており、直接教授法はその実現のための重要な手段です。
参考にしている情報源
Stockard et al. (2018) The Effectiveness of Direct Instruction Curricula: A Meta-Analysis of a Half Century of Research
このページを引用するときの表記例

「直接教授法(明示的指導)」EduEvidence JP(CC BY-SA 4.0)。https://edu-evidence.org/strategies/direct-instruction/ (出典の最終確認 2026-09-28、参照 YYYY-MM-DD)

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